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ホーム > アプリケーション > 回路保護 > 過渡電圧サプレッサ過渡電圧サプレッサ過渡電圧サプレッサは、高電流を流すために最適化されたアバランシェ・ダイオードおよびツェナー・ダイオードに基づきます。特定のブレークダウン電圧に対応し、多くの場合は数個のダイオードを組み合わせて構成されており、同じ保護デバイスで複数の信号ラインを保護できます。ダイオードは半導体(通常はシリコン)のnおよびpドープ領域間の接合部に形成されます。TVSデバイスは順方向バイアスと逆方向バイアス・ブレークダウン導通の組み合わせで保護を行います。基本的なダイオード特性を以下で説明します。 図1 急峻なnp接合の図解 図1に示すとおり、急峻なnp接合を考えることによってダイオード特性を定性的に理解することができます。ドナー不純物を多く添加したn+サンプルとアクセプタ不純物を少なめに添加したpサンプルの2つのシリコン片について考えてみます。図1 aのようにx=0で2サンプルを概念的に接合します。n+領域の初めは電子密度がドナー不純物の数と等しい状態になります。p領域の空孔密度はアクセプタ不純物濃度に等しい状態になります。この状況は継続しません。境界では電子と正孔が再結合します。その結果、接合部周辺領域の電子および正孔の両移動キャリアが枯渇します。この領域は空乏領域として知られ、図1 bにキャリア濃度ゼロの領域として示されています。接合部領域でキャリア濃度がゼロになると、図1 cに示すとおり実効電荷領域が生じます。x=0より左側に、電子を放出した電子ドナーからの実効正電荷が存在します。x=0より右側には、余分な電子を受け取った電子アクセプタからの実効負電荷が存在します。接合部両側にある空乏領域の幅は、接合部の各側のドナーおよびアクセプタのドーピング濃度によって変わります。1つの制約は、接合部の両側の電荷総和はゼロでなければならないということです。この制約のために、接合部のドーピング量の多い側の空乏領域幅がドーピング量の少ない側より狭くなります。接合部のこの領域における実効電荷密度によって、金属接合部で最大値になる電界が生じます(図1 d)。図1 eに示すとおり、接合部両端の電界を積分すると接合部内の電圧になります。こうして得られた電界と電位の作用によって、電子はn領域に正孔はp領域にそれぞれ移動します。 図2 異なる逆方向バイアス・ブレークダウン電圧を有する3ツェナー・ダイオードのダイオードI-V曲線。電圧はp領域を基準にしてn領域に印加されている。 図2に、異なる逆方向バイアス・ブレークダウン電圧を有する3ダイオードの電流―電圧曲線の例を示します。p領域を基準にn領域に負電圧を加えた場合、電圧が-0.6Vを下回ると大電流が流れ始めます。同様にして正電圧を加えた場合、ドーピング・レベルによって異なる接合部ブレークダウン電圧に達するまで微小電流が流れます。空乏領域における電位と電界についての考察を継続することで基本的なダイオード特性を理解できます。 図3は、順方向バイアス状態のダイオードを示しています。順方向バイアスを印加するということはp領域を基準にしてn領域に負電位をかけること意味します。これによって得られた電位を図3 eに示します。この図で、印加電圧により内蔵ダイオード電位が低下しています。接合部での電位降下の減少によって、電界(図3 d)および空乏領域の幅(図3 bおよびc)が減少しています。内蔵ダイオード電圧が低下し空乏領域が狭くなるとダイオードに電流が流れはじめます。異なる逆方向バイアス・ブレークダウン電圧を有する3ツェナー・ダイオードの順方向バイアス電流―電圧特性の詳細を図4に示します。 図3 順方向バイアス状態での3ダイオードの特性。順方向バイアス状態において、黒線は外部バイアスがない場合、赤線は外部バイアスがある場合。 図4 異なる逆バイアス・ブレークダウンを有する3つの異なるツェナー・ダイオードの順方向バイアス電流―電圧特性。 逆バイアス状態を図5に示します。逆方向バイアスではp領域を基準にしてn領域に正電圧が印加されています。これによって、図5 eに示すとおり接合部電位が増大して内蔵バイアスを上回り、図5 dに示すとおり電界が強くなります。その結果、外部バイアスを印加しない場合に較べてさらに空乏領域が広がり、電位および電界によって電流が制限されます。このため広い電圧範囲でダイオードにはほとんど電流が流れません。 図5 逆方向バイアス状態でのダイオード特性。黒線は外部バイアスがない場合、赤線は外部逆方向バイアス電圧が印加されている場合。 図2から分かるように、逆方向バイアス電圧が十分に高いと電流が流れ始めます。接合部のドーピング・レベルがあまり高くない場合、アバランシェ・ブレークダウンによって電流が流れ始めます。印加電圧により空乏領域に電界が生じます。この電界が空乏領域に熱的に注入される少数キャリアを加速します。強電界ではキャリア衝突によりさらに電子正孔対が生じことがあります。1つであったキャリアが3つになります。このプロセスが繰り返されるとアバランシェが起こり大電流が流れます。ドーピング量が多い材質では空乏領域の幅が狭いため電界が強くなります。このためドーピング量の多い接合部ではより低い電圧でアバランシェ・ブレークダウンが起こります。図6から分るように、アバランシェ・ブレークダウンは非常に狭い電圧範囲できわめて急速な電流増加が発生するのが特徴です。 図6 異なるブレークダウン電圧を有するダイオードのI-V曲線。ブレークダウン電圧は室温で電流5mAとして規定されている。 ドーピング・レベルがきわめて高いと2次ブレークダウン・メカニズムが生じます。ドーピング・レベルが高い場合、電界がきわめて強くなるため電子は基本的に個々の原子から引き離されて自由キャリアになります。このプロセスはツェナー・ブレークダウンとして知られ、通常は価電子帯から伝導帯に遷移する電子の量子力学的トンネル現象として説明されます。図6の5.1Vダイオードで示すとおり、ツェナー・ブレークダウンでは、アバランシェ・ブレークダウンよりも電圧に対する電流の増加が緩やかです。 |
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