4月 12, 2023

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最近では、工場、自動車、公共施設、道路、その他多くの場所でカメラを見かけるようになりました。ほとんどのカメラに、場面の光を電子画像に変換するイメージセンサが搭載されており、それゆえに人気があります。しかし、イメージセンサにはさまざまな種類があり、それぞれが異なる特性や機能を備えているため、設計者はイメージセンサについて十分に理解したうえで、用途に応じたカメラを選択する必要があります。

自動車に搭載されるカメラも増えており、高級車モデルでは12台以上が搭載されているものもあります。自動車メーカは、安全機能のためにセンサを増やす傾向がありますが、カメラごとにコストがかかり、スペースも必要という課題に直面しています。そのため、1台のカメラで人間の視覚と機械の視覚(マシンビジョン)の両方に最適な画像をキャプチャできるようなソリューションが求められます。人間が見るための画質とマシンビジョン用の画質では、求められるトレードオフが異なるため、この点も課題となります。

 

人間による視認

人間の知覚系は、ピクセル間の光強度差に対して、マシンビジョンのアルゴリズムとは反応が異なります。人間は視覚強度に対して非線形反応を示します。つまり、目に入る光子数が2倍になっても、明るさが2倍になるわけではありません。そのため、人間が見るためのカメラ画像は、ダイナミックレンジをマッピングして、人間が認識する明るい部分と暗い部分のディテールが最大になるように調整する必要があります。また、人間は「正しく見える」色や、LED光源(かなり増えてきています)のちらつきに敏感なので、たとえ画像がシャープで高品質であっても、色に歪みがあるカメラは人間にとって好ましくない存在です。また、リアビューカメラのように運転者を支援するパッシブセーフティシステムでは、画像が乱れると運転者はそれを認識してカメラに頼らなくなるという点で、マシンビジョンシステムよりも人間による視認に適しています。そのため、不便にはなっても重大な安全性の問題に発展することはありません。カメラの利点は失われますが、運転者はそれを認識しているので、状況が好転するまでカメラ画像に頼ることはありません。

 

マシンビジョン

人間が見るのとは対照的に、マシンビジョンを用いた自動システムは、画像内の各ピクセルの数学的な値を扱うので、各ピクセルによって記録された光子数に対する線形反応を保持しています。そのため、測定したピクセル値を人間が見るのとは異なる形でマッピングした画像を出力するように調整する必要があります。また、マシンビジョンシステムは、画像の欠陥を検出できるようにプログラムされているか、専用のエラー検出ハードウェアを備えている必要があります。それがない場合、マシンビジョンシステムは正しく動作しないことがありますが、機能が低下したり、まったく機能していなかったりしても車両運転者にそれを通知することはありません。自動緊急ブレーキのようなアクティブセーフティ(予防安全)システムでは、機能不全は問題であり、フォルスポジティブ(誤検知)では衝突の危険がないのにシステムがブレーキをかけ、他方フォルスネガティブ(検知漏れ)では危険があるのにブレーキをかけないようなことが起こります。人間の運転者がシステムの支援を受けている場合、システムが完全に機能していないことは重要な情報ですが、機能が低下していることを運転者に警告しない場合もあります。機能の低下や「使用不可」を運転者に警告するシステムは通常、センサのエラーやフォルトの検出を専用ハードウェア機能で行っています。これらの機能にはASIL(Automotive Safety Integrity Level:自動車安全水準)などの業界標準があり、ASILに対応したセンサは安全性を高めるために、フォルトを検知して報告する機能を備えています。これらの2つの理由は、マシンビジョン用センサと人間が見るためのセンサで異なる構成が必要なことを示す明白な例です。

 


120度視野のセンサのRYYCy画像(カラー処理済み)

 

1台のカメラでビューイングとセンシングを行うセンサソリューション

人間の視覚とマシンビジョンの両方の能力に対応するカメラシステムを設計する技術者にとっての朗報は、人間の視覚とマシンビジョンの両方に対応するスーパー機能セットを備え、一方は人間が見るために、もう一方はマシンビジョン用に最適化され、2つのデータストリームを同時に出力できるセンサが入手可能なことです。これにより、自動車メーカは1台のカメラを特定の場所に設置することで、車内のカメラ用スペースを少なくし、システムコストを削減しながら、両方の作業のために、用途に応じて最適化された画像を取得できます。

 

オンセミは、車載用マシンビジョンおよびヒューマンビジョン用イメージセンサの設計において長年の経験を持っており、両方の機能に対応するように技術を適合させました。オンセミ製品の画質については、最新のブログで詳しく紹介しています。