数年単位で測定されるバッテリ寿命を備えた超低電力のイベントトリガ型センサとマシンビジョンのソリューションではどのようなことができるのでしょうか?
今日の IoT アプリケーションはこれまで以上に多様化しています。センサは進歩し、人工知能 (AI) への革命は順調に進んでおり、常に新しい技術が生まれています。AI のもう一つの形態であるマシンビジョンは、自動車のADAS(先進運転支援システム)、ロボット、インダストリアルオートメーション、医療、セキュリティなど、多くの業界およびアプリケーションに革命を起こしてきました。AIの普及は進んでいますが、比較的大きな処理能力とそれに伴う電力消費が必要になります。そのため、バッテリ駆動の超低電力 IoT ソリューションには理想的なソリューションではありません。この場合、データは AI 処理のためにクラウドに送信されます。
特にバッテリ駆動の IoT ソリューションでは、低電力化への鍵は、アクティブなデューティ・サイクルを少なくすることです。つまり、デバイスができるだけ頻繁に「スリープ」やアイドル状態になることです。イベントトリガ型システムは、省電力化のための優れた方法です。従来、バッテリ駆動の製品は、ソフトウェアタイマーを使うことで、スリープモードで動作し、タイマーが一定の期間に達した時のみシステムを立ち上げる方法を取ってきました。
優秀なソフトウェアタイマー以外に、他のイベントトリガのタイプがあります。
- 動き: だれかがドアを開けたのだろうか?
- 加速: 機密装置が限界を超えてストレスをかけられたのか、または予想外に動いたのか?
- 温度: 当社の COVID-19ワクチンの出荷は、輸送中に適切な温度を維持していたか?
- 環境: 湿度は制限値よりも高いか? 大気質はどうか?
イベントを検出後、低電力システムは多くの場合、遠隔測定したデータをクラウドに送信して処理します。最も一般的な方法は、Bluetooth Low Energy を備えたスマートフォンを使用することです。というのは、地球上のほぼすべての人がBluetooth Low Energyゲートウェイとしての携帯電話を持っているからです。
オン・セミコンダクターの「RSL10 Smart Shot Camera (スマートショットカメラ)」は、超低電力、イベントトリガ型 IoT によるメリットのすべてを、強力なマシンビジョン機能と組み合わせたものです。「RSL10 Smart Shot Camera」は、 Bluetooth Low Energy を使用してクラウド接続をサポートし、データをスマートフォンに転送するプラットフォームで、バッテリ駆動の IoT デバイスがいかに強力に機能するかを示す優れた事例です。
以下に、RSL10Smart Shot Cameraで可能になるいくつかの興味深いアプリケーションを示します。この他にも多くのアプリケーションのユースケースがあることは間違いありません。
RSL10 Smart Shot Camera (スマートショートカメラ)

RSL10 Smart Shot Cameraは、アセットの監視やセキュリティなど、ポータブルなバッテリ駆動の IoT アプリケーション向けの、スマートで低電力の画像キャプチャを可能にします。これは、RSL10 SIP および ARX3A0 CMOSイメージセンサをベースにした、ノード・トゥ・クラウドの完全なプラットフォームで、時間、動作検知、環境センサトリガー(温湿度の変化など)を含む複数のトリガーモードをサポートします。
RSL10 SIPにより、Bluetooth® Low Evergy 接続を有効にし、キャプチャされた画像とセンサのデータを提供されているモバイルアプリ(GooglePlay™または iOS®で利用可能)に送信できます。

モバイルアプリを使って、開発者はクラウド接続、センサの遠隔設定(しきい値設定と初期設定)、イメージキャプチャ・トリガモードの変更など、さまざまな機能を利用できます。クラウド内にあるイメージアナリティクス/AI エンジンに接続され、AIクラウドサービスを利用して、オブジェクトを検出し識別できます。このモバイルアプリケーションは、識別されたオブジェクトと信頼度のリストとともに、キャプチャされた画像を戻します。この技術がどのように機能するかについて、その背景や考え方を以下のビデオでご確認ください。
イベントトリガ・イメージングをどこで行うか?
前述のように、この技術にはさまざまな潜在的なユースケースがあります。そのうちのいくつかを次のセクションで紹介します。
温室モニタリング
周期的にポーリングしている間に、湿度センサまたは温度センサのいずれかが設定範囲外になった場合に画像をキャプチャできます。カメラは、スナップショットとセンサデータをクラウドに送信して、保存し処理できます。マシンビジョンにより、過剰な雑草やその他のトレーニングされたパラメータがある場合に、植物が適正に成長しているかどうかを判断できます。
あるいは、モーションセンサは、誰かがカメラを盗み出そうとすると、セキュリティ・スナップショットをトリガするか、あるいは温室の扉ドアが開いたときにトリガして、その時間と入室者の写真を記録できます。
車室内モニタリング
イベントトリガ型カメラは、車両にも付加価値をもたらします。たとえば、モーションセンサはカーシートの子供の動きを検知し、子供が安全でない場合に親にアラートを発することができます。
配送車両では、モーションセンサで梱包品をモニタ可能になり、梱包品が落下した場合に、写真を撮ってイベントを記録できます。
ライドシェアの車両に搭載されたカメラでは、顔認識を用いて自動車に乗り込む乗客を記録し識別できます。脅威が検出された場合、乗客が車に搭乗する前に乗車を拒否できます。
安全ヘルメットカメラ
労働者のヘルメットに設置されたイベントトリガ型カメラで、転倒やけがを検出し、スナップショットを撮り、遠隔の医療従事者や企業の看護師に通知できます。マシンビジョンのアルゴリズムにより、センサデータと画像を組み合わせて、救急車を派遣する必要があるかどうかを判断できます。またセンサにより、労働者が暑すぎる、寒すぎる、またはその他の健康上の懸念がある場合に報告することもできます。
カメラシステムにより、作業者が特定の領域を移動した時点で記録でき、マシンビジョンを通して、事業者の作業者のワークフローと行動を理解し、事業の最適化を図ることができます。
またスマートカメラは、機材や工具などのセキュリティシステムの一部として、盗難のスナップショットを記録し、画像に基づいて自動的に識別できます。
スマートリテール
多くのストアチェーンでは、すでにAmazon Goのような自動決済を可能にしています。そこで使われているスマートカートは、センサやカメラを使ってカートに何が入っているかを自動的に検出し、料金を請求書に追加します。
RSL10 Smartshot Cameraは、現在行われているように常にアラートを発するのではなく、検出したときだけアイテムをスキャンして必要なスマートカートのバッテリー電力を劇的に低減できます。カートは、追加された製品を検出し写真を撮影し、マシンビジョン処理によってアイテムが何かを判別し、システムが自動的に料金を請求書に加算します。
RSL10 Smart Shot Cameraは、スマートカートの盗難を防ぐためのセキュリティ装置でもあります。カートが駐車場を離れると、自動的に盗難者の写真を撮影し、マシンビジョンの機能を通じて当局に通知します。単に誤った場所に配置した場合、カートの場所は店舗に報告して復旧できます。
もう1つの革新的なスマートリテールアプリケーションは、RSL10 Smart Shot Cameraを在庫管理に使用して、ロボットの使用を補完することです。
アプリケーション事例のサマリー
RSL10 Smart Shot Cameraは、最先端のカメラとイメージセンサ、業界をリードする超低電力 Bluetooth Low Energy、電力管理、バッテリ充電器、さまざまなセンサを組み合わせて、魅力的なバッテリ駆動の IoT ソリューションを実現します。このプラットフォームは、考えられるイベントトリガ型 IoT ソリューションを可能にします。
RSL10Smart Shot Cameraの詳細についてはこちらをご参照ください。また、このテクノロジーをどのように使用するかについて創造的なアイデアを以下のコメント欄にご自由にコメントをお願いします。