産業用の測距向け LiDAR の活用方法

著者:  ON Semiconductor  - 01-26-2021 

LiDAR (ライダー)とは「light detection and ranging (光検出と測距)」の略であり、検出器で離れた場所から物体の距離を測定する技法です。使用される原理は、レーダー(RADAR)に酷似していますが、LiDAR では電波ではなく光(通常はレーザー光)を用います。LiDAR システムは、光線を放射して対象物に当て、光源近くに位置するセンサーに反射させます。光の移動に要する時間を測定し、光の速度定数を使用して、対象物の距離を高い精度で計算できます。これは、タイムオブフライト(ToF)と呼ばれます。

LiDAR は自動車業界、特に先進運転支援システム(ADAS)で活用されており、障害物検知や衝突回避に加え、車間距離制御(ACC)やナビゲーションに使用されます。しかし、LiDAR技術の新しいエキサイティングな分野は、モノのインターネット(IoT) での産業用の測距です。

このブログでは、当社の LiDAR の第一人者である、インテリジェントセンシング・グループのSensL部門でアプリケーションエンジニアを務めるエデル・キャッシュマン(Edel Cashman)が、測距とシリコン・フォトマルチプライヤー(SiPM)技術の専門知識を共有し、新しいSiPM dToFライダープラットフォームを紹介します。

レンジファインダーとは何か?モノのインターネットにどのように関係するか?

レンジファインダーは深度測定システムの一つで、深度認識、物体検出と回避、位置マッピングに関わるさまざまなアプリケーションで使用できます。

LiDAR技術で距離計測にどんなメリットがもたらされるか?

LiDAR は柔軟な設定が可能で、多様な環境や照明状況で使用でき、あらゆる種類の個体オブジェクトを正確に検出できます。

ダイレクト・タイムオブフライト(Direct Time of Flight、dToF)の原理とは?

すべての LiDAR システムは、光と「タイムオブフライト(飛行時間)」の概念を使用して距離を測定します。間接的な技法では、連続した変調光とその反射光との間の位相または周波数の差異を使用します。dToFシステムでは、パルスレーザーが光子を出力し、表面で反射されてセンサで検出されます。光子パルスを放射するレーザーとそれを検出するレシーバとの時間差で、距離が分かります。これは通常、時間-アナログ変換器、または時間-デジタル変換器のどちらかを使用して実現します。FPGA を使用して時間-デジタル変換器を実装することで、正確に放射開始時間を登録して、対象物からの反射後に最初に検出された光子の受信時間を測定できます。長距離検出では、高感度の受光素子が不可欠です。

 

IoTアプリケーションでダイレクト・タイムオブフライト(dToF)がインダイレクト・タイムオブフライト(iToF)より適している理由とは?

距離計測では iToF と dToF の双方に長所があります。 dToF は照射、検出、処理の面で実装がシンプルで、計算時間が短くて済みます。 dToF システムには視野(Field of View、FoV)内で複数の物体を区別する能力があり、位相サイクルによって距離があいまいになる問題はありません。

他の技術と比較した SiPM のメリットは?

SiPM は、ノイズが少なく応答速度が速い、高精度の受光素子です。SiPM により、高い精度のToFと強度の情報を、一度の測定で得られます。オン・セミコンダクターの SiPM は、ばらつきが非常に少なく低コストであるため量産に適しています。 SiPM ベースのシステムの設計は、シンプルで信頼性があり、拡張性が可能です。近赤外線(NIR)の検知能力が高いため、オン・セミコンダクターの SiPM を使って、波長範囲 850 nm から 940 nm の低価格の量産レーザーダイオードを備えるシステムを設計できます。

レンジファインダーのアプリケーション開発に伴う課題は?

距離計測のアプリケーション開発では多数の課題が存在します。低電力アプリケーションでは、光子の量に制約があるかもしれません。長距離システムでは、平均電力を同一にするために、より短いレーザーパルス幅を使用して、レーザー源を最適化できます。短いパルス幅は SiPM で容易に検出できるためです。複数点の距離計測では、検知器の数を拡張するか、シングルポイント用のディテクタ(検知器)にスキャニング(ビームステアリング)のメカニズムを追加する必要があります。 SiPM の広い帯域幅と速い応答時間が、スキャン時の高フレームレートを可能にします。

中程度の距離検知でも、レンジファインダーの設計で問題になることがあります。他の課題としては、光学コストと、広い温度範囲を通じたレーザーの均一性があります。

SiPM dToF LiDAR プラットフォーム

産業距離計測とは?

 

SiPM dToF LiDARプラットフォームは、シングルポイントのレンジファインダーの開発キットです。産業用、民生用の大量に展開するアプリケーション向けにコストを最適化しています。また、 IoT 向けに直接深度検知と距離計測を実装するための、シンプルな手段を提供します。この開発キットは、RB シリーズの最新のシリコン・フォトマルチプライヤー(SiPM) ディテクタと踏査しています。 このSiPM ディテクタは、近赤外線(NIR)のシングルフォトン(単一光子)を検知可能な高性能ソリッドステートセンサです。

RBシリーズ SiPM センサは、オン・セミコンダクターが開発し、このプラットフォームで使用しています。 高いゲイン(1x106)と高い光子検出効率(905 nmで10%)を持ち、コンパクトかつ頑丈で磁気耐性のあるパッケージに収納されています。約 30V の非常に低いバイアス電圧で、また単一光子範囲のほぼ全体を通して、一定のノイズレベルで高ゲインを実現します。オン・セミコンダクターが実現したマイクロセル間の高レベルの均一性により、センサは、出力ノードで個別に離散レベルとして検出された、光子の正確な数を識別できます。

RB シリーズ SiPM

このリファレンスキットは、11 cm から 23 メートルまでの距離を対象としています。 905 ± 5 nm の光学バンドパスフィルタ、および 905 nm レーザーダイオード送信機を備え、650 ~ 1050 nm 信号に最適化された平凸レンズを備えています。

本リファレンスキットは、PCベースのGUIを使用して、箱から出してすぐに使用できます。業界標準のPMODコネクターを備え、完結したソリューションになっており、必要な電源供給も可能です。また、USB コネクターでリファレンスキットに電源供給することもできます。GUIを使用すると多くの設定を変更できるため、産業用および IoT アプリケーションの幅広い範囲で使用できます。

 

「SiPM dToF LiDAR プラットフォーム」の詳細はこちらのリンク先をご参照ください。また、以下の設計資料をご確認ください。

設計資料:

 

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Tags:IoT, Internet of Things
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