シリコンカーバイド技術は自動車のオンボード充電をどう変えるか?

著者:  Kane Jia  - 05-07-2021 

CO2 排出量規制の強化や世論の変化に伴い、世界中で電気自動車(EV)の開発が加速しています。これにより、オンボードチャージャー/オンボード充電器(On Board Charger、OBC)は、直近の2024 年までのトレンドに基づくと、年平均成長率(CAGR(TAM))が37.6% 以上になると推定され、今後数年間で大きな成長が見込まれています。OBC モジュールを設計している世界の自動車メーカーにとって、システム効率の向上や信頼性の高い新しいトポロジーの定義は、緊急の課題となっています。

単相入力のAC システム用のシンプルな力率改善(PFC)トポロジー(図1)は、従来のシングルチャネル・ブーストコンバータです。このソリューションには、入力AC を整流するためのダイオード・フルブリッジと、負荷の力率を高めるためのPFC コントローラが含まれており、これにより効率が向上し、AC 入力電源に課される高調波が低減されます。この一般的なPFC 昇圧トポロジーの利点は、設計が容易であること、実装コストが低いこと、性能が信頼できることです。しかし、ダイオードブリッジ整流器の伝導損失は避けられず、これでは車両がAC パワーグリッドに電力を供給できるような双方向の動作には対応できません。従来型の多チャンネルインターリーブ型昇圧コンバータは、昇圧回路を複数回繰り返すことで、システムの性能パラメータを向上させることができますが、入力ダイオードブリッジの必要性をなくすことはできません。

 

図1.  従来のPFC

 

シミュレーションデータ(図2)によると、PFC ブロックの他のコンポーネントの損失よりも、入力ダイオードブリッジの電力損失が支配的であることがわかります。

 

図2.  PFCの電力損失分布

 

OBC システムの効率を向上させるために、従来のPFC、セミブリッジレスPFC、双方向ブリッジレスPFC、Totem Pole ブリッジレスPFC など、さまざまなPFC トポロジーが研究されています。その中でも「トーテムポール型PFC 」(図3)は、部品点数が少なく、伝導損失が少なく、高効率であることから人気が高まっています。

 

 

図3. ブリッジレス・トーテムポール PFC

 

トーテムポールPFC では、従来のシリコン(Si)製MOSFET では、ボディダイオードの逆回復特性が悪いため、CCM(Continuous Conduction Mode)での動作が困難でした。SiC (シリコンカーバイド)製のMOSFET は、全く新しい技術を採用しており、Si 製のMOSFET と比較して、優れたスイッチング性能、最小の逆回復時間、低RDS(ON、高い信頼性を実現しています。さらに、コンパクトなチップサイズにより、デバイスの低キャパシタンスと低ゲートチャージ(QG)を実現しています。

OBC を設計する上でのもう一つの課題は、モジュールであるがゆえに自動車内に割り当てられるスペースが限られていることです。電力需要とバッテリ電圧が増加する中で、必要な出力を提供しながら機械的なサイズ要件を満たすOBC を設計することは、ますます困難になっています。OBC に使用されている現在の技術では、エンジニアは電力、サイズ、効率の間のトレードオフを許容しなければなりませんでしたが、SiC はこれらの設計上の障壁を打ち破っています。より高いスイッチング周波数でSiC を使用するエンジニアは、より小さなインダクタを使用しても、以前と同じインダクタのリップル電流要件を達成することができます。

OBC システムにSiC のMOSFET を使用するメリットは、より高い周波数でスイッチングできること、電力密度の向上、効率の改善、EMI 性能の向上、システムサイズの縮小です。SiC が広く利用できるようになった今、エンジニアはトーテムポールPFC を設計に使用して性能を向上させることができます。

新たにリリースされたOBC 向け6.6kW トーテムポールPFC評価ボードは、マルチチャネル・インターリーブ・ブリッジレス・トーテムポールPFC トポロジーのリファレンスデザインを提供します。このデザインは、絶縁型の大電流・高効率IGBT ドライバ(NCV57000DWR2G)と、2個の高性能SiC MOSFET (NVHL060N090SC1)をそれぞれの高速レグに搭載しています。さらに、低速レグには、2個の650V N チャネルパワーMOSFET SUPERFET® III (NVHL025N65S3) デバイスを、モノリシック・ハイサイド/ローサイド・ゲートドライバIC (FAN7191_F085) で制御します。

 

図4.  6.6kW インターリーブ・トーテムポールPFC 評価ボード

 

これらの高性能SiC MOSFET をトーテムポール型トポロジーで構成することにより、システムは97%の効率(代表値)を達成しています。また、ハードウェアによる過電流保護(OCP)、ハードウェアによる過電圧保護(OVP)、補助電源(非絶縁型)を搭載しており、PFC 基板上のすべての回路と制御基板を他の直流電源なしで供給できます。また、さまざまな制御基板に対応できるよう、柔軟な制御インタフェースを用意しています。

図5.  6.6kW インターリーブ・トーテムポールPFC 評価ボードのブロック図

 

当社のオンボード充電ソリューションの詳細、および追加資料については、以下をご参照ください。

 

 

 

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Tags:Automotive, Silicon Carbide (SiC) , OBC
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