IoTの急成長とデータ保存の高い要件が相まって、データの処理と送信は、プロジェクトの持続可能性にとって大きな懸念となるでしょう。そのため、あらゆる種類のエナジーハーベスティング(環境発電)ソリューションは、絶対不可欠と言わないまでも、ありがたい存在です。
これらソリューションを導入するにあたり、設計者は、IoTセンサデバイスが数値を測定するだけでなく(温度、湿度、汚染、輝度を含みます)、電源の制約内で、測定値をシステムのホストコンピュータへ、通常は無線で、送信できる必要があることに留意しなければなりません。
これを実現するために、センサ、受信機、エネルギー源、通信のデューティサイクルを含め、設計の各システムレベルのコンポーネントを徹底的に検討しなければなりません。
バッテリベースのシステムの課題は、一般的に、より複雑なエネルギー管理が必要になることです。この中には、充電と放電の管理およびセルの過充電と過放電からの保護が含まれます。このようなエネルギー管理のシステムでは、スイッチングレギュレータが必要であり(受動素子の増加)、必要な機能を実現するためにICがより複雑になるため、システムの複雑さとBOMコストが大きくなります。高い性能と低い自己消費電流の要件に加えて、半導体が複雑であることにより、かなり高価なICソリューションにつながることが一般的です。
光にさらされることがなく長時間動作を求められないアプリケーションの場合、キャパシタベースのソリューションが、よりコスト効率の良いソリューションになり得ます。エネルギー蓄積キャパシタは、測定を実行して結果を送信する十分なエネルギーが手に入るまで、太陽光発電デバイスからのエネルギーを一時的に蓄積します。適切な定格電圧を備えたキャパシタを使用する場合、充電回路は不要です。期待されているピーク輝度に露出した時の太陽電池の開回路電圧が、最大入力電圧を決定付けます。キャパシタに開回路電圧を上回る定格電圧が備わっている場合、充電回路または保護は不要です。
バッテリベースおよびキャパシタベースのソリューションは、いずれも正しい電圧を搭載回路(センサ、マイクロコントローラなど)へ供給するために、出力電圧の制御が必要です。リチウムベースの貯蔵積オプションを使用しているシステムは、4Vを超える電圧に達し、一般的にセンサおよびマイクロコントローラの入力電圧を上回る電圧になります。一般的に1.8~3.3 Vの供給電圧と一致させるために、ステップダウン電圧変換が必要です。キャパシタベースのシステムの場合、電圧は貯蔵されている充電量に直線的に依存します。これは、放電サイクルにおいて大きな電圧変動につながる可能性があり、そのような電圧変動はすべてのセンサまたはマイクロコントローラによって受け入れられるわけではないため、供給を安定されるために何らかの種類のレギュレータが必要です。
RSL10ソーラーセル・マルチセンサ・ボード(RSL10-SOLARSENS-GEVK)は、スマートビルディング、スマートホーム、およびインダストリ4.0を含め、バッテリ不要IoTアプリケーションの包括的なソリューションです。このボードは、業界最小電力のBluetooth Low Energy無線(RSL10)をベースとしており、温度および湿度検知用のマルチセンサ(BMA400スマート3軸加速度計、BME280スマート環境センサ、およびNCT203広域デジタル温度センサ)が搭載されています。
また、このボードには、47 µFの超低コスト小型コンデンサ、プログラミングおよびデバッグ・インターフェース、および太陽電池を接続するためのZIPインターフェースが搭載されています。
このデバイスは、低電流源からエネルギーを供給されるため、動作中および発電中のシステム全体から漏れる電流が少ないことが重要です。この目的で、ボードに装着された超低レベルの自己消費電流 LDO (NCP170)を含む、複数のスマートデバイスが選択されています。
このソリューションにより、オン・セミコンダクターは、連続したセンサモニタリングやクラウドゲートウェイへのデータ送信などの機能を搭載した、太陽エネルギーだけで動作する低コストの小型センサノードの開発が完全に可能であることを立証しました。スマートビルディング、都市管理、モバイルヘルスなどの複数のユースケースで、RSL10ソーラーセル・マルチセンサ・プラットフォームの新しい技術と能力の大きな恩恵を享受できるでしょう。このプラットフォームを使用して新しい革新的なセンサ設計を開発することで、数十億個のスマートセンサの導入により必要となるエネルギーのギャップを埋め、IoTに革命を起こすことができます。
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